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健診結果の見かたと対応について(高血圧の場合)

健診結果が届いたら…

 

健康診断を受けたらもちろん健診結果が手元に届くと思います。そのとき血圧がA(異状なし)ではなく、B(軽度異常)以上がついていたらどうしますか?

高値血圧を示した血圧計と血圧手帳の写真

ここでは、医療従事者以外の方で、血圧に詳しくない人が「なるほど!」と少しでもわかっていただければ幸いです。

 

 

最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)の違い

 

健診を受けている人からよく「上がいつも高いんだよ」とか「下が高いけど上がそこまで高くないから大丈夫でしょ?」などという意見をよく聞きます。上は「収縮期血圧(最高血圧)」、下は「拡張期血圧(最低血圧)」が正しい名称となります。

それではどうして「収縮期」「拡張期」と呼ばれるのでしょうか?

収縮期血圧

心臓が収縮して全身に血液を送り出す際に血管壁にかかる圧力です。膨らんだ心臓から一気に血液を送るので、血管はすごい圧がかかるため、最高血圧とも呼ばれます。

年齢・疾患・生活習慣によって血管はしなやかさ(弾力)を失って硬くなってきます。硬い血管は弾力がないため、圧力が高くなります。それが収縮期血圧の上昇です。

拡張期血圧

心臓が収縮して血液を送り出した後、もちろん心臓はもう一度、血液を送り出そうと心臓を膨らませます(拡張)。そのときに血液が心臓に戻ろうとしているときの血管の圧が一番低くなるので、最低血圧と呼ばれます。

こちらは年齢・疾患・生活習慣によって血管の弾力性が失われてくると血管の抵抗性が失われて逆に低くなっていく傾向にあります。

脈圧

最初の写真にあった収縮期血圧は134㎜Hg、拡張期血圧は84㎜Hgでした。その差である50という数値が脈圧となります。

この脈圧が40~60であれば正常で、この値が大きくなればなるほど弾力性が失われた硬い血管であるということになります。

 

 

高血圧の基準値と判定はどうなっていますか?

 

分類 診察室血圧(㎜Hg) 家庭血圧(㎜Hg)
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧

正常血圧

   120未満       かつ                   80未満        115未満       かつ                   75未満    
正常高値血圧    120~129    かつ     80未満    115~124    かつ     75未満
高値血圧    130~139  かつ/または  80~89    125~134  かつ/または  75~84
Ⅰ度高血圧    140~159  かつ/または  90~99      135~144  かつ/または  85~89  
Ⅱ度高血圧    160~179  かつ/または  100~109    145~159  かつ/または  90~99
Ⅲ度高血圧     180以上    かつ/または  110以上       160以上    かつ/または  100以上  
(孤立性)収縮期高血圧     140以上   かつ    90未満     135以上   かつ    85未満

参考)日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019

 

項目 A.異常なし B.軽度異常

C.要再検査・生活改善

D.要精密検査・治療
血圧(㎜Hg) 収縮期 129以下 130~139 140~159 160以上
拡張期 84以下 85~89 90~99 100以上

参考)日本人間ドック学会 判定区分2023年度版

 

上の表は日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019に記載されている内容で、高血圧の診断基準となります。

下の表は日本人間ドック学会の判定区分2023年度版になります。

急に話が難しくなっていると思われるかもしれませんが、シンプルに健康診断の血圧の項目の「判定」を見てください。

健康診断を実施している施設のほとんどは日本人間ドック学会の判定区分に従っていると思われますので、とりあえず下の表を参考にしていただければ大丈夫です。

収縮期血圧と拡張期血圧のどちらが大切か、どちらが心疾患や脳疾患などに影響するのか、などが研究されてきましたが、結論は両方の値を見ることが大切です。

 

 

判定別のアドバイス

 

A判定

問題ありません。

 

B判定

高値血圧です。

今までの生活を振り返り、味付けが濃かったり、運動不足だな~…と感じている人は生活習慣を変える努力をしていきましょう。

塩分を今までよりも減らすことで血圧は改善します。簡単に説明しておくと、体の中にしょっぱいものが入ると水で薄めなきゃと思い、体は水を蓄えて血液量が増えるからです。血液量が増えればそれだけボリュームが増えて血管壁に圧力がかかるためです。

運動については血管自体の機能が改善するため、動脈硬化を防ぐことが出来るためです。動脈硬化を防ぐ=血管に弾力がある、ということなので、B判定の方は普段の生活習慣を変えていこうと意識することが大切です。

 

C判定

Ⅰ度高血圧です。

医師の診断結果の指示に従い、経過観察していただき、3カ月後・半年後・1年後などに再検査となります。

更に積極的な生活習慣の改善が必要です。B判定でも説明しましたが、C判定はもっと詳細に

1)塩分を控える(1日あたり6g未満)

2)適度な運動

3)野菜を沢山食べる

4)肉を控えて魚(特に青魚)を食べる

5)太っている人はやせる(BMI 25未満)

6)飲酒を控える

7)喫煙を控える(禁煙)

それぞれを簡単に説明すると

 

1)Bで説明した通りで具体的には塩分6g未満です。かなり厳しい量ですが、それだけ減塩が必要だということです。

きれいに並べられた日本食 漬物が皿に並べられている写真

例)みそ汁1.5g、親子丼3.5g、チーズバーガー2.2g、かけそば4.0g、たくあん(30g)1.3g、スパゲッティ(240g)2.8g、鮭おにぎり1.5g、食パン6枚切り1枚あたり0.7g、さばの味噌煮1.4g

これを1日3食で考えたとき、無理だろ…って私は思います。減塩醤油や減塩味噌など減塩の商品は沢山あって工夫できることは沢山ありますが、食べ過ぎている人は食事量を腹8分目にするだけでもかなり減塩が出来ますよ。

 

2)Bで説明した通りです。追加するとすれば有酸素運動がお勧めです。激しい運動になると逆に血圧が上がってしまって、心疾患や脳疾患発症のリスクを高めてしまう可能性があるので、無理のない程度に実施することが望ましいです。

 

3)野菜はカリウムの摂取と肥満抑制が目的です。カリウムは腎臓でのナトリウムの排出を促進するため、血圧が上がるのを抑制します。また野菜に含まれる食物繊維が糖や脂肪の吸収を阻害するため、肥満防止に効果的です。肥満と血圧についてはこの後で説明します。

高血圧を予防するためのサラダ

4)肉を控えて魚(青魚)を食べたり、大豆性タンパク質をとることでLDLコレステロールの上昇を防ぎます。LDLコレステロールの上昇は動脈硬化や血管狭窄の原因となるため、結果的に高血圧予防につながります。

LDLコレステロール(脂質異常症)については別のブログで紹介していますので、良かったらご参照ください。

 

5)肥満の人は食事を過剰に摂取している方が多いです。その場合、インスリンが過剰に出ることによってナトリウムが増加したり、カテコールアミンという物質が出ることによって血液量の増加、血管の収縮が促進され、血圧が上昇するのです。また、肥満細胞からアンジオテンシノーゲンという物質が分泌され、血管収縮が起こることによって血圧が上昇します。

 

6)飲酒は適量であれば飲まない人に比べて心疾患のリスクが減ります。適量とはビール500ml、日本酒1合、焼酎0.5号、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯程度です。しかしながらアルコールに弱い人や女性はもう少し減らしたほうがベストです。逆に常習的に過度の飲酒を続けると高血圧の原因になるほか、アルコール性脂肪肝、肝硬変、急性膵炎、高尿酸血症(痛風発作)などの原因になります。適量を守って飲酒を楽しみましょう。

 

7)タバコに含まれるニコチンと一酸化炭素が血圧を上昇させる原因になります。ニコチンは交感神経を刺激し、血管を収縮させます。一酸化炭素は体内を酸素不足にさせ、血管の収縮の他、心拍数の増加、血液の粘度上昇による動脈硬化を引き起こします。加熱式タバコであれば、一酸化炭素は大幅に削減はされますが、ニコチンも一酸化炭素も両方含まれていることには変わりありません。

 

D判定

D判定がついたら必ず医療機関(内科または循環器科)を受診してください。同時にC判定で述べた生活習慣の改善も必須となります。よく「医療機関で薬を処方されたからもう大丈夫」と言って当たり前のように不摂生してしまう方も多くいらっしゃいますが、そういう方こそ一度受診してみて治療等ご相談されるのが良いかと思います。

また、C判定やD判定がつくような方は自宅で血圧を測定されることをお勧めいたします。それは病院に行って測ると高く出て(白衣高血圧)、家だと低く出るという方がほとんどだからです。医師が優先するのはどちらかと言われれば家庭血圧を優先します。そのため、内科を受診する際は朝と晩の決まった時間に上腕式の血圧計で2回ずつ測定し、その平均値を算出することを推奨します。それを7日間(最低でも5日間)続けて記録に残した状態で内科または循環器科を受診すると良いでしょう。

上腕式の血圧計がなくて手首タイプの場合、心臓と同じ高さにすることが正確に測るポイントです。また、測定する際は安静座位で適度な室温であること、会話をしないこと、喫煙・飲酒・カフェインの入った飲料などを控えることが大切です。

 

最後に

健康診断の結果が届いたら必ず目を通して、書かれている内容に従ってください。仕事や家事・子育てにより忙しくて2次検診に行けない方が結構いらっしゃいますが、どうか自分の身体を大切にしていただき、健康な状態で長生きしていただきたいと思います。皆様が健やかに生活できることを心より願っております。

この記事を書いた人

セセリ ナオ

手術室、ICU、CCU、循環器病棟の経験を経て、現在では産業保健の分野で保健師をしています。人間ドック健診情報管理指導士(人間ドックアドバイザー)の資格を有し、10年以上も食事や運動など生活習慣改善に向けた特定保健指導を実施しています。
専門の知識を生かして地元のミニバスケットボールチームに関わらせていただき、子供達の成長を一緒に見守っています。

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